何か月も月経がなかったのに急に始まり、その間あごのまわりにニキビが繰り返しできる。以前よりムダ毛の処理をする回数が増えた気もする。一つずつ見れば大したことはなさそうでも、いくつもの変化が重なると、検索欄に「多嚢胞性卵巣症候群」と入力してみたくなります。
この記事では、診断を下すのではなく、そうしたサインをどうまとめておき、何をあわせて確認するとよいかをお話しします。

月経が飛んで、ニキビや毛が増えたら多嚢胞性卵巣症候群ですか?
その可能性を確認してみる価値のある組み合わせですが、それだけで多嚢胞性卵巣症候群とは言えません。 この病気は、排卵が規則的に起こらず、男性ホルモンの影響が現れるホルモンの状態で、どの症状が目立つかは人によって異なります。
月経の問題がまず目につく方もいれば、肌や毛の悩みが先に立つ方もいます。そのため、一つの症状だけを切り離して見るよりも、どの変化がどの順番で重なったかを整理することが役に立ちます。
| 確認したい変化 | メモしておくとよい内容 |
|---|---|
| 月経 | 飛んだ月があったか、最近でいちばん長かった間隔、いつからそうなのか |
| 肌 | ニキビが主にできる場所(あご・首・胸・背中など)、以前と変わった時期、試した治療 |
| 毛 | あご・鼻の下・胸・おなかなどに太く濃い毛が増えたか、脱毛・ムダ毛処理をする部位と回数の変化 |
| 髪 | 頭頂部のあたりが薄くなった、抜ける量が増えたと感じた時期 |
| 体重と生活 | 体重が増えたか減ったか、食事・睡眠・運動・ストレスで変わったこと |
| そのほかの変化 | 首やわきの下の皮膚が黒ずんで厚くなった感じ、以前とは違う疲れ |
この表は、自分で点数をつける診断表ではありません。覚えている欄だけ埋めれば十分です。月経の日付を記録する基本的な方法は月経周期が変わったとき、何を記録すればよいですか?で取り上げたので、ここでは月経と一緒に変わった体の変化を書き足すと考えてください。
写真が役に立つこともあります。ニキビは日によって違って見えますし、受診の直前にムダ毛を処理していると、ふだんの毛の量を見せにくいからです。ただし、写真を必ず撮ってくる必要はなく、言葉で説明しても大丈夫です。
同じ症状がほかの原因で起こることもありますか?
はい。月経が遅れたり止まったりすること、肌や毛の変化は、多嚢胞性卵巣症候群以外の原因でも現れます。 そのため診療では、この病気だけを探すのではなく、ほかの原因もあわせて確認します。
- 妊娠の可能性:月経が遅れていて、少しでも妊娠の可能性があるなら、まずそれを確認します。ほかの原因を調べるのはその次です。
- ほかのホルモンの問題:甲状腺機能の変化や、母乳をつくることに関わるプロラクチンが高い状態も、月経の変化を起こすことがあります。
- 体重・生活の大きな変化:短い期間に体重が大きく減った、運動量が大きく増えた、ストレスが大きかった時期にも、月経が止まることがあります。
- 薬と避妊の方法:服用中の薬やホルモンによる避妊法を始めた・やめた時期が、変化と重なっていないかを確認します。
- 年齢と時期:初経から数年の間は、周期が不規則になったりニキビができたりすることもよくあります。十代では、大人とは異なる基準で、より慎重に判断します。
どの検査をどの順番で行うかは、前の記事月経周期の変化は、診療ではどの順番で確認しますか?で詳しく説明しました。受診前にすることは原因を当ててくることではなく、上の項目のうち自分に当てはまるものを伝えることです。
まわりで聞いた話、そのまま信じてもいいですか?
よく耳にする話の中には、一部だけ正しいものや誤解を招くものがあります。 不安を減らすためにも、必要な受診を先延ばしにしないためにも、いくつか確認してみます。
よく「PCOS」と略して呼ばれるため、一度診断を聞くと、すべての症状が同じ名前で説明されるように感じるかもしれません。実際には、目立つ問題は人によって異なり、何を優先して管理するかも一人ひとり違って決めます。
将来妊娠を望むなら、何を聞けばよいですか?
多嚢胞性卵巣症候群があるからといって、妊娠できないという意味ではありません。 排卵が不規則だと妊娠の準備に時間がかかることがあるため、計画があれば診療の早い段階で伝えていただくのがよいでしょう。
いますぐ妊娠を準備しているのか、数年後を考えているのか、まだ計画がないのかによって、管理の方向性や薬の選び方が変わります。避妊が必要かどうかもあわせてお話しください。計画が決まっていなければ、決まっていないと伝えていただいて構いません。
受診の前に、何を整理していけばよいですか?
月経の日付と一緒に、肌・毛・体重の変化がいつ始まったかを一枚にまとめていけば十分です。 完璧な記録をつくるために受診を先延ばしにする必要はありません。
- 最近の月経の日付といちばん長かった間隔 覚えている範囲の開始日、飛んだ月、最後の月経の日を書きます。
- 肌・毛・髪の変化が始まった時期 ニキビがひどくなった時期、ムダ毛の処理が増えた部位、すでに受けた肌の治療があればあわせて書きます。
- 服用中の薬と避妊の方法 処方薬、ピルを始めた日・やめた日、ふだん飲んでいるサプリメントの名前を残します。
- 家族の健康のこと 家族に糖尿病の人や、似た月経の問題を経験した人がいれば教えてください。
- 妊娠の可能性と計画 最近妊娠の可能性があったか、今後の計画はどうかを書いておきます。
診療でこうした情報をどのように見るかは、LILEAPの多嚢胞性卵巣症候群の診療案内と月経不順/無月経の診療案内で事前に確認できます。
