「腟形成」はいくつかの方法をまとめた呼び方で、そのうち腟縮小術は、ゆるんだ腟の組織を調整して縫い合わせる手術です。レーザーやフィラーとは作用のしかたが異なるため、方法ごとの違いが気になる方は、腟レーザー・腟形成・腟フィラーの違いを先に読んでみてもよいでしょう。
手術が終わると、気になることが変わってきます。おりものはいつまで続くのか、トイレでいきんでもよいのか、運動や性交渉はいつから再開してよいのかといった、生活に直結する疑問です。小陰唇手術は外から傷を見ることができますが、腟縮小術の傷はほとんどが腟の内側にあるため、回復の程度を自分で見極めるのがより難しくなります。だからこそ、体が出すサインと経過観察の受診がいっそう大切です。

腟形成の回復初期には、どのような変化がよく見られますか?
最初の数日は、腟の内側に重く鈍い痛みと腫れを感じることがあり、血の混じったおりものが数週間続くこともあります。 程度や期間は、手術の範囲と一人ひとりの回復の速さによって異なります。
海外の医療機関の患者向け案内には、共通する変化が書かれています。米国形成外科学会(ASPS)は、腟縮小術のあと最初の数日間、深く、重く鈍い痛みを感じることがあると説明しています。似た方法で腟の後壁を縫い合わせる手術について、米国のクリーブランド・クリニックは、血の混じったおりものが数日から数週間、おりものが数週間ほど出ることがあり、腟の痛みは4〜6週間のうちに落ち着くと案内しています。
- おりもの: はじめは赤や茶色で、次第に薄くなることが多いです。ナプキンやおりものシートを当て、こまめに替えます。
- 溶ける糸: 英国泌尿婦人科学会(BSUG)の案内によると、2週間ごろに糸の結び目がナプキンについて出てきます。そのときに、血が少し再びにじむことがあります。
- 便意: 腟の後壁は直腸と接しているため、下のほうが重く感じたり、便意をもよおすような感じがしたりすることがあります。
- 排尿: 手術直後の数日間は、尿がすっきり出ない感じがすることがあります。
- 疲れやすさ: 手術後しばらくは疲れやすいことがあるので、日中もこまめに休みましょう。
洗い方や排便・排尿は、どのように管理すればよいですか?
外側は清潔で乾いた状態に保ちつつ腟の中は洗わず、排便のときに強くいきまないことが基本です。 洗い方、処方薬、次の受診日は、手術を受けた医療機関の案内に従ってください。
- シャワーでは外側だけを洗う シャワーはふつう早めに始められますが、腟の中を洗浄したり、温水洗浄便座の水流を腟に直接当てたりしません。洗ったあとは柔らかいタオルで押さえるように水気を取ります。
- 座浴は案内を受けてから 座浴をすすめる医療機関もあれば、傷を乾いた状態に保つため避けるよう案内する医療機関もあります。行うかどうか、いつから何分行うかは、手術を受けたところに確認してください。
- タンポンではなくナプキンを使う 傷が治るまでは、タンポンや月経カップのように腟の中に入れる製品は使いません。
- 便秘を前もって防ぐ 水分を十分にとり、野菜や果物などで食物繊維をとりましょう。便が硬くなったら、我慢したりいきんだりせず、便をやわらかくする薬が必要かどうか医療者に相談してください。
- 尿を我慢しない こまめに排尿して膀胱を空にし、尿が出にくかったり痛みがあったりする場合は、先延ばしにせず連絡します。
- 重い物を持たない お腹に力が入る動作は、縫い合わせた部分を引っ張ることがあります。しばらくは、買い物のように重さのある家事は手伝ってもらうほうがよいでしょう。
- 少しずつ歩く 横になってばかりいるより、家の中や近所をゆっくり歩くことが、回復と脚の血栓予防に役立ちます。
ゆとりのある下着や、パンツ・スカートのように下半身を締めつけない服を選ぶと、座ったり動いたりするのがずっと楽になります。
運動、入浴、性交渉はいつから再開できますか?
再開の時期は、腟の内側の傷が治った状態を医療者が確認してから決めます。 散歩のような軽い活動が先で、腟の中に何かを入れたりお腹に力が入ったりする活動ほど後になります。
海外の案内で示される期間は、資料によって少しずつ異なります。ASPSは、腟縮小術のあと1〜2週間ほど休む期間が必要になることがあり、タンポンと性交渉は8週間避けるよう説明しています。英国のNHS病院による腟壁を縫い合わせる手術の案内では、仕事を2〜4週間ほど休み、性交渉や激しい運動、重い物を持つことは6週間避けるよう案内しています。クリーブランド・クリニックは、大半が3か月以内に完全に回復すると説明しています。
| 活動 | 始める前に確認すること |
|---|---|
| 散歩・軽い家事 | ふつう早めに始め、下のほうが引っ張られる感じや出血が増えたら減らす |
| 仕事・通学 | 長く立ち続けるか、重い物を持つ仕事か、通勤の距離はどのくらいか |
| ランニング・筋力トレーニング・ヨガ | お腹に力が入り、骨盤の下を引っ張る動きがあるか |
| 自転車・室内サイクリング | サドルが会陰部を直接圧迫するか |
| 浴槽での入浴・水泳・サウナ | 出血が止まったか、傷が治ったか |
| タンポン・月経カップ | 腟の内側の傷が治ったと確認を受けたか |
| 性交渉 | 経過観察の受診で、挿入してもよいか確認したか |
性交渉を初めて再開するとき
はじめは引っ張られる感じやひりひりする感じがすることがあります。急がず、十分に準備してからゆっくり試し、乾燥しているようなら潤滑剤が役立つことがあります。痛みが強い場合や、何回か経っても良くならない場合は、我慢せずに受診時に伝えてください。傷あとや狭くなった部分のために性交痛が起こることもあるため、確認が必要です。
どのような症状があれば、すぐに連絡すべきですか?
出血や痛みが落ち着かずに増えていく、熱が出る、おりものから嫌なにおいがするといった場合は、次の受診日を待たずに、手術を受けた医療機関に連絡してください。 おりものが数週間続くのはよくあることですが、量が増えたりにおいが変わったりするのは感染のサインかもしれません。
まれに起こりうる問題もありますか?
大半は時間とともに回復しますが、出血・感染・傷が開くこと、まれに周りの臓器の損傷や長引く性交痛が起こることがあります。 手術前の相談で聞いたリスクを回復中にもう一度思い出しておくと、異変に気づきやすくなります。
- 出血・血腫: 傷の内側に血がたまったり出血が続いたりして、処置が必要になることがあります。
- 感染: 傷や腟、尿路に感染が起きた場合は、抗菌薬などによる治療が必要です。
- 傷の問題: 縫い目がゆるんで傷が開いたり、逆に突っ張って不快になったりすることがあります。
- 周りの臓器: 腟と接している直腸・膀胱が損傷することはまれですが、起きた場合は追加の治療が必要です。
- 排尿・排便の変化: しばらく排尿や排便がしにくくなったり、便秘がひどくなったりすることがあります。
- 性交痛・感覚の変化: 狭くなりすぎたり傷あとができたりすると性交痛が続くことがあり、性交渉のときの感覚が変わったと感じる方もいます。
腟縮小術は、診察で確認したゆるんだ部分の幅と形を調整する手術です。感覚や性的満足度、尿失禁がともに良くなると約束できる手術ではなく、結果や回復は人によって異なります。
経過観察の受診では、何を聞けばよいですか?
いまの傷がどの程度治っているか、次に再開してよい活動は何かを、具体的に聞いてみてください。 回復の速さによって予定が変わることがあるため、受診のたびに確認し直すとよいでしょう。
LILEAPでは、診察によって手術する部位と残すべき組織を決め、回復中は傷の洗い方や処方薬の使い方、次の受診日をご案内します。運動や性生活は、回復の状態を確認してから再開します。手術前に確認しておきたいことは腟形成のうち腟縮小術のご案内に、出産後に腟がゆるんだ感じについて初めて相談するときに整理しておきたいことは出産後に腟がゆるんだ感じについての記事にまとめています。
